おすすめの映画

こんにちは!
今日はおすすめの映画を紹介します。



スワロウテイル」や「花とアリス」などで有名な岩井俊二監督作品です。
あらすじは、以下の通りです。



派遣教師の皆川七海は「教師」という仕事が好きではありながらも、情熱を持てずに働いていた。 ある日、彼女はSNSで出会った鶴岡鉄也と結婚することになる。 それはインターネットでモノを買うようにあまりにもあっさりとしたことだった。
結婚式をすることになった七海と鉄也。 しかし友人が多い鉄也に比べ、七海には結婚式に出席してくれる親戚も友人も少なかった。 鉄也に“見栄えがしないからどうにかして欲しいと”頼まれた七海。 困った挙げ句「なんでも屋」の安室行舛に代理出席を依頼した。 無事に結婚式が終わったと思った矢先、鉄也の浮気が発覚した。 続けて七海も鉄也の母であるカヤ子から浮気の罪をかぶせられてしまい、家から追い出され、ついには鉄也と離婚する。 家と夫を同時に失い、窮地に立たされた七海に「なんでも屋」の安室は奇妙なバイトを提案する。 最初は結婚式の代理出席であった。そこで里中真白という女性と出会う。 次に依頼されたバイトはオーナーが不在の間、住み込みで屋敷を管理する「メイド」であった。 報酬100万円という額に困惑しながらも七海はこの仕事を受けることにする。 屋敷に向かうと、そこにはすでに結婚式の代理出席バイトで知り合った真白が住み込んでいた。 真白は七海と異なり自由で破天荒な性格であったが、 そんな彼女に七海は好感を持っていく。
そしてふたりの奇妙な生活が始まった。

(以上、Wikipwdiaより引用)



主人公の七海のどことなく自信のないような、落ち着く家のないような、そんな空気感。
彼氏も友達もネットでできるのに、本音が言えるのは、SNSでの匿名アカウントでだけ。


大学を出て、「普通に生きているように見える人の」生活も、実はそんなに選択肢なんかない。
そして、人と人との繋がりが薄く「結婚式の代理出席」がある世界。
これら全て「映画の中の話」ではありません。
私たちがとても馴染みのある日常で起こっていることです。



そんな良くいる女の子「七海」が、人との出会い、そしてその出逢いによって引き起こされる悲しみや苦しみによって成長していきます。


仕事って言われても私何にもできない、自分は何ができるんだろう、うまく人を励ますこともできない、人にはっきり嫌だって言えない、でもうまく繕わなきゃいけない、本当は違うのに違うって言えない、相手に信じてもらえない、なんで私だけがこんなことに…
そんな風に悩み苦しみながらも、生きることをやめない七海。



人との出会いは、苦しいことや悲しいことの方が多いけれど、その中にきらっと光るような、一生残るような宝物がある。
そんなストーリーです。




私はこの映画が大好きなので、劇場版・serial edition版・原作小説全て見ましたが、どれも素晴らしかったです。
(本編は、劇場版が一番纏まっており、serial edition版は劇場版でカットされたシーンを見るための補足として楽しめると思います。)


劇場版ではわからなかったのですが、岩井俊二監督自身が書かれた原作小説を読んで「何もない時に湧いてくる力」について深く考えました。
劇中、七海がもうどうしようもないくらいに傷つき逃げ出した時に、不思議と底力が湧いてきたという描写があるのですが、私はそこに救われたような気がしました。
そして、同時に心の奥底では、七海はそんな現実を望んでいたのかなとも感じました。



日本はとても豊かな国です。
しかしながら、私たちは何故こんなに不自由なのでしょう。
どうして自分で命を終わらせる人が絶えないのでしょう。
「普通に生きること」が何故こんなにも難しいのでしょう。


もう嫌だ、もういいや、どうにでもなれ…
そんな風に、もう人生終わりだと思った時、何もなくなった時に、逆に本当の自分がむき出しになる。
七海の中にいる「一人で生きていけるほどの強さを持った七海」はそうやって出てきました。
そんな人間の底力を、生命力を、心の奥底では私たちは感じたいのではないでしょうか。



生きるために、なんだってやろう
失っても失ってもやるしかないのだ、例えそれがどんな仕事だって!



そうやって目の前のことに一生懸命になる。
要するに、「今日生き延びること」に集中できる。
「なぜ人は生きるのだろう」「死にたい」なんて考える暇がないくらいに、世間体や他人のご機嫌を伺う余裕なんかないくらいに、生きるために生きることができる。
そんな動物としてシンプルな状態に戻ることで、今私たちが忘れ去ってしまったことを思い出せるのかもしれません。
「生きる」というただその一点に置いての情熱は、「安心安定で普通に生きている人たち」には分からないことなのかもしれない、そんな風に感じました。


胸が痛くなる、切なくなる映画ですが、同時に心に微かな希望を持たせてくれるような、そんな素晴らしいお話です。
気になる方は、是非ご覧になってみてくださいね♪


それでは!